その夜、るぅは南の海を飛んでおりました。
と、いうのも南の海に浮かんでいる小さな島から小さな信号を受け取ったからです。小さな優しい信号でした。
小さな島の小さな村。
そのまた小さな家の小さな部屋に小さな女の子がベッドの上でお祈りをしておりました。
るぅはふわふわと女の子の側に降り立ちました。
『何をお祈りしているの?』
女の子はるぅを見て目を輝かせました。
「小さなかわいい羊サン、
あなたがあたしのお願いを叶えてくれるの?」
るぅはくるりんと宙返りをして答えます。
『ボクに叶えられる願い事ならね』
女の子は話し始めました。
「あたしのママは北国の生まれなの。
パパと出逢って恋をして、パパの生まれ故郷のこの島にやって来 たのよ。そして、あたしが生まれたの。
ママもパパも、もちろんあたしも幸せだったわ。
でも、すこし前に病気をしてから、ママがおかしいの…北国が… 雪が懐かしいって言って…元気がないの。
あたしの前では元気なフリしてるけど、あたし知ってる。
ママは一人の時、いつもベッドで泣いてるの…」
そう言って、女の子は自分の目もうるませました。
「だからお願い、小さな羊サン、ママに雪の夢を見せてあげて。
そうすれば、きっとママも元気になるわ」
るぅは胸をはって答えました。
『そんなことならお易いご用さ』
るぅは女の子と約束をして、小さな部屋から外に出ました。
そして、空高く高く飛び上がると、大きく大きく、島全体を周りました。るぅが呪文を唱えると、キラキラした光の粒が島全体をうっすらと覆いました。
スノードリーム