「大変です〜、大変ですぅ!王子様が〜っ!」

ジャンの叫び声に、お城の人々が何事かと集まってきました。

王子様の部屋は重苦しい雰囲気に包まれていました。
ベッドの側にはイスが置かれ、主治医が王子様の腕を取り脈を計り、まぶたを引っ張り、熱を計り、王子様の様子を調べています。
ジャンは寝室の扉の脇に立ち、心配そうにその様子を見守っておりました。
やがて、主治医は王子様の腕を布団の中に戻すと、大きなため息をつき、ゆっくりと首を振りました。

「…残念ながら私には王子様のご病気の原因がわかりかねます…」

ジャンは目の前が真っ暗になりました。頭の中で主治医の言葉がぐるんぐるんと回っています。

「とりあえず、お熱が高いのでお熱を下げるお薬を差し上げることくらいしか今の私にはできません…このまま、この状態が続いたら…」

主治医の言葉を聞いてジャンは心臓が止まりそうになりました。
ガクガクと震える足で、自分の部屋へと戻りました。

 十歳になった年にジャンは五つ年下の王子様の遊び相手としてお城に上がりました。
それからは何をするのもずっと一緒でした。
王子様と過ごした日々が浮かんでは消え、消えては浮かびます。

ジャンは震える体を自分の腕でしっかりと抱きしめ「しっかりしろ!」と自分で自分に喝を入れました。

そうです、こんな所で震えている場合ではありません。
何か自分にもできることがある筈です。
医者ではないから病気を治すことはできません。
けれども、何かきっと…。ジャンは一生懸命考えました。
生まれてからこの方こんなに考えたことはないというくらいに考えました。

「そうだっ!『ユニコーンの涙』だっ!」

前に不思議な庭園に散歩に言った時、老人が言っていたのを思い出したのです。
老人によれば、『ユニコーンの涙』はどんな病気でもたちどころに治してしまう不思議な力を持っているのだという話です。
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