そう言うとるぅは自分の体から眩い光を発しました。
その光で奇妙な煙を全て消し去りました。

『夢を見るのが悪いことだなんて言わない。
 救いである夢があったっていいし、自分の望みこそが夢であるの は、それは正しい夢の在り方だと思うよ。
 でも、キミのは違う。』

人工的な夢から切り離されて、呆然としている男にるぅは冷たく言い放ちました。

『今の自分をよく見てみるがいいよ。
 現実を見るのが嫌で、でも夢を叶える努力すら嫌で、目を塞いで 都合のいいだけの夢に逃げ込んだ自分を。』

男はワナワナと震えて部屋を見回し、自分の肥大した体を見下ろして、そのうつろな目から涙を流しました。

『夢は現実からの逃げ道ではないよ。
 現実があるから夢があるんだ。それを忘れたら、生きてはいけな いよ』

ベッドの上で泣き続ける男にるぅは言いました。

『いい夢をあげる。
 だから、明日から少しずつでいい、ちゃんと頑張ってごらんよ』

そう言うとるぅは男の上を大きく小さく回りながら呪文を唱えました。
金色の光の粒が震える男の肩を包み込みます。

おやすみなさい…よい夢を…
…明日からは現実に生きることをどうか忘れないで…
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