その夜、るぅは仕事を終えて大きな街の上をふわふわと飛んでおりました。
と、るぅは奇妙なモノを見つけました。
夢のような夢ではないモノ…るぅが今までに見たことのない、けれども確実に夢に属するモノでした。
それは暗い色がたくさん混じった煙のようなモノでどうやら一軒の家の窓から出てきているようです。
るぅは急いでその窓のところに降りていきました。
その部屋は二階の角部屋でした。
るぅは静かにその部屋へと入っていきました。
中は豆電球がついていて薄暗く、そして今までに見たことがないくらい乱雑に汚れていました。
床は見えないくらいに脱ぎ散らかした服やお菓子の空き袋、食べ終わったカップラーメンなどが散乱しています。
そして、食べ滓だらけのベッドの上に巨大な影が寝転がっておりました。
それは、肥大した男の体でした。
彼はパイプのようなモノを吸っては目を閉じます。
すると、あの気持ちの悪い煙が男の頭からユラユラと出てくるのです。
るぅは男の前へと降り立ちました。
『キミは何をしているの?』
男は大儀そうに目を開いてるぅを見ました。
けれども、すぐにまた目を閉じてしまいました。
るぅはもう一度聞きました。
『この煙は何?』
「煙〜?」
ようやく男は答える気になったようです。
「そんなのは知らないよ、俺はただ夢を見たいだけだ」
るぅは煙を見て言いました。
『こんなのは夢じゃないよ』
悪 夢