星の綺麗な夜でした。
るぅは一仕事終えて、ふわふわと夜空を飛んでおりました。
高いビルの屋上で一人の少年が夜空を眺めているのが目に入り、るぅは何かに誘われるように降りてゆきました。
コンクリートの上に、真っ赤な膝掛けを広げ、少年が寝転がって空を見つめています。
少年の側には大きな猫が寄り添うように眠っていました。
『こんばんわ、何をしているの?』
少年はるぅの声に驚きもせず、まっすぐるぅを見ました。
大きくて綺麗な瞳です。
まるで子供のような照いもなにもなく、こちらの心にすっと入ってくるような視線で、るぅを見すえました。
「星を見てるのさ」
『星が好きなの?』
少年はるぅの言葉を聞いて、馬鹿にしたように鼻でフフンと笑いました。
「嫌いだったら見たりするわけないだろ?」
そして、少年は脇に置いてあった本を取り上げてるぅに見せてくれました。
「これは星の地図だよ」
それは手書きのスケッチブックでした。
『君が描いたの?』
「うん、綺麗だろう」
『うん、とっても綺麗だ』
少年はとても満足げに頷きました。
『君は夜はいつも星を見ているの?』
るぅの質問に、少年は片方の眉を上げ指を振って答えます。
星の地図