大広間の扉を開けたら、そこは海の底でした。
王子様とジャンは大きな泡に包まれました。
海に一歩足を踏み出すと、なんだか体がフワフワと浮いているような感じがします。王子様はウキウキしてきました。どうやら楽しいお散歩になりそうです。

「王子様〜、これはなんだか歩きにくいですね〜」

ジャンの声に振り返ると、なんだかジャンはフラフラヨロヨロと歩いています。
ジャンはとても痩せていてとても背が高いので、きっとバランスが取りにくいのでしょう。
王子様は食べることが大好きで、体型もそれに似合って丸々とふくよかなものですから、浮力のある海の中でも転がるようにそれは上手に歩けます。

「そうか?ボクはなかなか愉快だぞ」

海の中では声もとても珍妙な感じに聞こえます。
他にもボコボコ…とか、ボワーンボワーンとか、不思議な音が聞こえます。
泡の外は、ユラユラ揺れて見えるのです。

「王子様〜、ただ立ってるだけでワタシは酔っちゃいそうです〜」

お世話係の弱音なんか気にも止めず、王子様はずんずん前に進みます。
お散歩には勇気が必要なんです。
とくに王子様ともなりますとね、常日頃、勇気を指し示すことが大切なことなのです。

周りの景色を楽しみながらしばらく歩いておりますと、どこからか「しくしく…」とすすり泣きのような声が聞こえてきました。
見ると、珊瑚礁に座って人魚が泣いておりました。
海の中なのに、何故、泣いているのかわかるのか、ですって?
人魚の涙は真珠です。
深い海色の瞳から淡く白く光る真珠の珠がポロポロと落ちていくのです。
次から次へと海の底に落ちていくのです。
『人魚の涙』
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