「だからな〜…例えば、俺が、他の女の子と一緒に食事したとしたらお前はどう思う?」

「…夕霧も食費を浮かせたいのか?」

「いや…これといってそれは考えたことはない。
 …っていうか、その場合、俺が奢る立場なんじゃないか?」

「…無駄遣いは感心しないぞ?」

「って、お前が突っ込むのはそこかぃ?」

「何が言いたい?」

「…そこはかとなく読みとるとかはできないのか?」

「他人の心が読めたらそれはすごいことだと思うが…」

「今までの会話の流れから相手の心を汲もうとする努力をしようとは思わないのか?」

「なんでそんな面倒臭いことをせねばならないんだ?」

「意志の疎通のためには歩み寄る努力は必要不可欠だと思うが」

「不許可。」

「…お前の愛はどこにあるんだ?」

六花は火を落として鍋の蓋をし、夕霧に向かい直った。

「私は今仕事中だ」

「うん、見ればわかる」

「それなのにお前のわけのわからん言いがかりにつき合っている。」

「わけのわからん…って…」

「これも充分、愛、だろう?」

…愛、なのか?
六花の言葉に惑わされそうになりながらも、頭の中で何かが違うと夕霧は小さく頭を振った。

「俺は…六花が他の男と一緒にいるの…ヤダ」

「お前は私に社会的付き合いを止めろ、と?」

「いや、そんな大仰な話でもないんだが…」

「そういうことだろう?」

「あれ?…そういうことになっちゃうのかな?あれれ?」

「ま、ゆっくりと考えてくれ」

何かが違うと腕組みして唸りだした夕霧をその場に残して、六花は片づけを始めた。
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