人里離れた山奥に、この世のものではない妖しを狩る者たちの里があった。
山全体に何重もの結界が張られ人の目に決しては姿を現さない隠れ里。
『鬼狩りの里』である。

里には、人外の力を持つ者たちが住まわっていた。

『狩り人』は武器に気を込めることによって妖しを斬ることを可能にし、『護り人』は結界を張って鬼から身を守る、そして『千里眼』そこにいながら遠くを見通す能力。
それらの力を駆使して、闇から生まれた妖しを再び闇へと屠る者たち。
相手がただの妖しなればここまで恐れ忌まれることはなかったのかも知れない。が、鬼の気に当てられてなのか己の心の闇にうち勝てずにか、人の身のまま闇へと堕ちる者も少なくはなかった。それら血肉の在る者も屠らねばならないことから…求められ望まれつつも疎まれて人目に隠れるようにその里はあった。

 もちろん、幸か不幸か才に恵まれない唯人も多くいた。
彼らは山を下りふもとの町で依頼を受ける「草」となり、次世代に命を繋げる礎となる。
今日生まれた赤子の名前を次の日には里中の全ての人間が知っている、そんな小さな里であった。
人々の寄せる勝手な想いをそれでも何も言わずに受け入れて、愛するものを守るために命を削って生きていくそんな者たちが寄り添う場としてその里はあった。

恨み辛み憎しみが澱り固まって闇となる
闇から生ずるは邪か鬼か…
この地を紅く染め上げる前に
暗い闇ごと葬りさらん。
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